Vol.2  東郷寿司の悲劇

DCエリアには比較的寿司屋が多くあるが、その全てが日本人経営とは限らない。ヘルシーな日本食や寿司ブームに便乗し、Korean BBQ&Sushiを看板にする韓国人も少なくないからだ。ただ、非日本人が経営する日本食、あるいは寿司レストランは、店名からある程度は判断できる。例えば、「SAMURAI SUSHI(仮名)」などといったコテコテの名前は、まず日本人オーナーはつけないだろう。レストラン名は、その店の予備知識が全くない場合には重要な判断材料となるのだ。

渡米直後。当時Washington Harborの一角にある事務所で働いていた夫が、昼休みにGeorgetownを歩いていたときのこと。たまたま"SUSHI TO GO"の看板を見つけた夫は、咄嗟に「東郷さんという日本人が経営する寿司店」だと思いこみ、勢いよくその店の扉を開けた。ところがそこは酢飯の香り漂う純和風の店とはほど遠く、カウンターの奥でラティーノが一生懸命海苔巻きを作っている以外は全く普通の、デリ風の小さな店だったとか。この時初めて、"TO GO"とは決して東郷さんではなく、"お持ち帰り"という意味を理解したのだ。

因みにその店はいまだに営業を続けているので、実は密かに人気なのかもしれない。
 最終更新日:2004年8月30日(月)
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